コンサートを読む:クセナキスの音楽劇「オレステイア」

大分ご無沙汰してます
今回の伊藤孝一ブログはコンサートを読む:クセナキスの音楽劇「オレステイア」について説明します

夜空に雲のないときは、月や星を近くに感じる。夜気が透きとおり、光がこうこうと見えるので、数キロ先、もう少し遠くても、車で走れば着きそうだ。ビルなどない時代の人たちには、天体は地続きに思えたのではないだろうか。

 アイスキュロスの演劇を基にしたクセナキス(1922〜2001)の音楽劇「オレステイア」がサントリーホールのサマーフェスティバルで上演された(8月31日)。

 第1部は、トロイア戦争を背景にアルゴスアガメムノンを取り巻く娘殺し、妻殺しなどおぞましい復讐(ふくしゅう)劇の端緒が描かれる。

 暗い舞台に突然、ホールの上から下まで星空が映し出される。舞台より背景の夜空のほうが大きく見えて、宇宙に包まれるような気がする。ラ・フラ・デルス・バウスの演出が個性的なのは、時折、星々の間を結んで幾何学模様の光線が走ることだ。それは管、打楽器、弦(山田和樹指揮東京シンフォニエッタ)がエネルギーを一挙に噴出する強奏に合わせて、瞬間、浮かび上がる。星も地上も、見えないところで結びついていると示唆するように。
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